手術前日
明日には空っぽになるお腹に、最後に話しかけた。
つわりがひどいとき、いつもお腹を撫でながら、がんばれーと、赤ちゃんに言っているんだか、自分に言い聞かせてるんだか、わからないけど、そうすると少しましになる気がして、夜中にはいつもそうして話しかけていたから。
またね、とか、またもどっておいでね、とか、そんなことを話しかけながら、お腹を撫でた。
そして、ゆりかごのうた。
毎晩毎晩、歌うと落ち着く気がして、まだ音が聞こえるわけもないお腹の子に歌った。
ああ、本当に最後なんだなあ…
そう思ったら、初めて泣けてきた。
赤ちゃんの異常が見つかり、流産の診断が出て、手術後まで。
私が泣いたのは、この一度きり。